マッキンゼーとApple出身。キャディのビジネスとテクノロジーの始まりである二人。
キャディの開発の想いを理解するためにその二つの始まりと関わり合い、
そしてこれからについて創業の物語を振り返りながら語りあってもらいました。
だいたい創業前から、今の開発やその背景まで振り返って来れたと思うんだけど、これからその先の展望は?
受発注のプラットフォームを広げていくことはもちろん、受発注の周辺サービスの展開は計画している。例えば、物流はニーズがあるかなと。受発注の量が増えると1:1よりN:Nの方がコストが安くできるし、それは材料調達の領域でも同じことが言える。
周辺のことでできることがいろいろある。
そうそう、他にも与信のためのデータが集まると資金面の問題にも貢献できるはず。ただそういう周辺領域のサービスは自分たち単独ではできないことがたくさん出てくるだろうから、いろんなところと協力していくようになるはず。
キャディの開発のユニークネスや面白さについてはどう思う?今も今後も含めて
製造業のサプライチェーンはすでに海外と繋がってるから、必然的にグローバルなプロダクト開発になるというのはひとつあるね。日本の強いところを活かしながらグローバルを最初から目指せる。
キャディの場合はソフトウェアだけを単体で外部に提供する訳ではなく、自分たちが受発注のど真ん中で実際にオペレーションをやるという経験を元に開発してるから、それは大きいと思うね。常に自分たちでドッグフーディングをしながら開発してる、という。
確かにそれは大きなところだね。
業務システムを外に提供する場合は、どこまでカスタマイズするのかや、ミスが起きづらくするためにどこを堅く作るか、イレギュラーに対応できるようにどこを柔軟に設計するか、を考えなければならない難しさがあるけどね。グローバル展開するときにどこをどうすることがローカライズするために重要なのかを最初から考えておく必要があるし。結構USのSaaSって日本で普及してるけど、でもやっぱりUSと日本両方を見ている身からすると西洋っぽさはすごいあるんだよね。逆に本当に全世界に広げようと思うと、西洋じゃないところから出発するのがいいんじゃないかとか。
面白さの話から、いつの間にかむずかしさの話に(笑)
要するに、そういうむずかしさを面白がれることが大事だね。さっきも話出てたけど、受発注のやりとりするところは結構人が察し合って明文化されてないものを補完し合っている領域が多分にある。要は、多くがフォーマット化・標準化されてないんだよね。そういう業界標準を作っていく難しさがある。
あと最近思うのは、どうアルゴリズムを人間とインタラクティブにしていくか。さっきも言ったみたいに図面に完全な情報がない時、アルゴリズムで無理に全部を読み取ろうとするんじゃなくて「ここが今わからないのですが、どうですか?」「こちらの方が、これくらい安く作れますがそのままの仕様でいいですか?」と人間に問いかけて答えを聞いてまた計算をする、みたいな。完全な全自動を最初から目指すのではなく、そうやってインタラクティブにシステムを成立させていくという考え方。
それは面白いね。その時の聞き方のUIやUXも大事になってくるもんね。どうストレスなく聞くかみたいな。
うん。そういう意味でバックエンドのアルゴリズムと表層のUIUXがうまく調和された、インタラクティブ・アルゴリズム、みたいな方向性が大事ではないかなと最近思ってる。
人とシステムと両方で解決すると。
そう。全自動を最初から目指してしまうけど、そこに辿り着くまでに、人とシステムで不確実性を解決することができるような仕組みを考えていく。
東京大学卒業後、2014年にマッキンゼーアンドカンパニーに新卒入社。 2年後の2016年に同社史上最年少でマネージャーに就任。シニアマネージャーとして、製造業の全社調達改革領域及びIoT/AI領域をリードするほか、グローバル戦略構築、新規事業策定などに従事。大手メーカー15社程度の調達改革に従事した結果、同分野への課題意識から2017年末にキャディ株式会社を創業。
スタンフォード大学・大学院にて電子工学を専攻。世界最大の軍事企業であるロッキード・マーティン米国本社で4年超勤務。ソフトウェアエンジニアとして衛星の大量画像データ処理システムを構築、JAXAやNASAも巻き込んでの共同開発に参画。その後、アップル米国本社にてハードウェア・ソフトウェアの両面からiPhone、iPad、Apple Watchの電池持続性改善などに従事した後、シニアエンジニアとしてAirPodsなど、組み込み製品の開発をリード。2017年11月に、キャディ株式会社を加藤と共同創業。