CTO小橋 × CEO加藤 インタビューいままでのこと、これからのこと

マッキンゼーとApple出身。キャディのビジネスとテクノロジーの始まりである二人。
キャディの開発の想いを理解するためにその二つの始まりと関わり合い、
そしてこれからについて創業の物語を振り返りながら語りあってもらいました。

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Apple-pen時代

それでその後、2017年の11月に創業なわけだね。

でもほんとにその時から事業やサービスのコンセプト自体は全く変わってないね。

実際の顧客やニーズのイメージもそんなにギャップなく?

元々マッキンゼー時代は大企業のクライアントが多かったから、そこにニーズがある肌感はあったけど、創業後ほどなくしてリスティング広告でもテストマーケティングをし始めてみると、中小企業のお客さんからも問い合わせが結構来て、そこにもニーズがちゃんとあるんだ、と。

あーなるほど。

一方で、開発的な視点では図面の解析はやっぱり難しくてまだまだ改善していかなきゃいけないなという感じではあった。それから次第に、自分たちの本当の価値って自動で図面を読み取れたり原価計算ができるということだけではなくて、数多くのいろんな製品・部品をお客さんから一式で任せてもらって、それらを最適なパートナー工場に発注することで、手離れよく効率的にできるよ!ということだなということも分かってきた。

そういうことには創業してどこらへんで気づくの?

そうだね、具体的にはいつ頃くらいだろ。

創業数ヶ月くらいかな。また、メンバーが発注と納品までをひたすらめっちゃアナログに頑張ってるという。

そうだね(笑)。あと創業3ヶ月くらいで実は特許をとっているんだけど、その議論をしてる中で、結局自分たちの新規性が何かというのを改めて考えたときに、図面が解析できることと原価が計算できることだけでは説明できないなと思って。お客さんが発注した後ろ側でいろんな加工会社がいて、それを結び付けて最適なところに発注して納品すること自体が価値だと改めて認識できた。

それらを全て包括するから新規性があると。

そう。でも今思うと、それはマッキンゼー時代も感じてた。製造業の調達担当は、別に見積回答が早く欲しいわけじゃない。価格が分かるだけじゃなくて、最終的にモノがちゃんと買えて、届かないと意味がないから。その時に、見積回答が早いっていうのはもちろんいいことなんだけどね。

特許を出すにあたって、潜在的には感じてたところがシェイプされていったという

そうそう。

そのときはまだアキさんはアメリカに?

うん。でももちろん状況をキャッチアップしながら、年末年始は帰ってきて一緒に議論して。多分まだSlackのチャンネル名が「Apple-pen」時代。

懐かしい(笑)。あれどういう意味なの?

アキはAppleで、マッキンゼーはなんかペンっぽいからApple-pen(笑)。ピコ太郎流行ってたし。

そういうこと!?しょうもな・・(笑)。

なんの意味もない(笑)。そのころ、CADDiって社名も決めて。「CADからDirectに発注できる」という意味もそうだし、製造業を全体を支えるインフラというイメージでゴルフのキャディとかけて。

会社名の議論はだいぶ遅くって。創業ギリギリのとき。

その創業前後から数ヶ月くらいがいわゆるApple-pen時代なわけだけど(笑)、技術的にこういうものが必要だな、とか、技術面でのコンセプトやイメージはその頃まではあんまり変わってないの?

そうだね、その頃まではコンセプト自体はそれほど変わってない。ただ、開発的には前提がひっくり返り続けたのが大変だったね。

前提がひっくり返るというのは?

例えば、図面の中には正確にいうと物理的におかしい形状のものもあるんだよね。実際の現場や町工場とのやりとりにおいて人間がそれを読むときは、「こう書いてはいるけど、とはいえ設計者の意図はこうだな」みたいなことを解釈して補いながらやってるという。要するに、図面っていうのはいつも正しくて解釈によってぶれることがない完全な情報が書かれている、という前提がなくなって、ゼロベースでやり直したりとかね。

あー、そういうことが分かり始めるわけだ。

システム側がそれを書いている人間の意図を察してあげるというところに、まだ検討できていなかった付加価値がある、と。それにどこまで正確に解析するのがいいのかが最初はまだ分からなかった。僕たちはその図面のモノを作るのにかかる製造原価を計算したくてそのために解析するんだけど、それを計算するのにそこはそんなに精緻にやっても特に意味ないよ、ということも結局あったりして。形を正確に知ることを追い求めていくという簡単な話でもなく、一個一個の課題の重要性がまだわからない時期で。

なるほど。原価計算をするという目的に対して、形状解析の優先順位をどう考えるかという。

あと設計者が図面を書くのに使ってるCADのデータって、オープンソースみたいにあまり公開されていなくて、結構クローズドな環境だからその中で工夫しながらやっていく必要があった。最初はPythonで書いてたけど、CADのオープンなライブラリがC++だからそれ用のwrapper書いてたり。でも結局C++側が進化しちゃうからいたちごっこになり続けるので、こちら側の言語もC++に切り替えて。

加藤 勇志郎代表取締役 CEO

東京大学卒業後、2014年にマッキンゼーアンドカンパニーに新卒入社。 2年後の2016年に同社史上最年少でマネージャーに就任。シニアマネージャーとして、製造業の全社調達改革領域及びIoT/AI領域をリードするほか、グローバル戦略構築、新規事業策定などに従事。大手メーカー15社程度の調達改革に従事した結果、同分野への課題意識から2017年末にキャディ株式会社を創業。

小橋 昭文最高技術責任者 CTO

スタンフォード大学・大学院にて電子工学を専攻。世界最大の軍事企業であるロッキード・マーティン米国本社で4年超勤務。ソフトウェアエンジニアとして衛星の大量画像データ処理システムを構築、JAXAやNASAも巻き込んでの共同開発に参画。その後、アップル米国本社にてハードウェア・ソフトウェアの両面からiPhone、iPad、Apple Watchの電池持続性改善などに従事した後、シニアエンジニアとしてAirPodsなど、組み込み製品の開発をリード。2017年11月に、キャディ株式会社を加藤と共同創業。

CTO小橋 × CEO加藤 インタビュー

いままでのこと、これからのこと

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